熱圧着ボンディング(TCB)とマスリフロー方式(MR)の比較

目次

フリップチップボンディングでは、チップと基板をはんだバンプで接続したのち、加熱によってはんだを溶融・固化させる工程が必要です。この接合工程には大きく分けてマスリフロー方式(MR:Mass Reflow)と熱圧着ボンディング(TCB:Thermal Compression Bonding)の2つの方式があり、求められる実装密度や生産性に応じて使い分けられています。

ここでは、マスリフロー方式とTCBそれぞれの特徴と、両者の違いについて紹介しています。

フリップチップボンディングにおける接合方式の違い

マスリフロー方式とは

マスリフロー方式は、基板上に複数のチップを一括で仮搭載したのち、リフロー炉全体を加熱してはんだバンプを一斉に溶融・接合する方式です。複数チップをまとめて処理できるため生産性が高く、比較的コストを抑えやすいことから、フリップチップボンディングにおける従来からの主流な接合方式となっています。

熱圧着ボンディング(TCB)とは

TCBは、チップ1個ずつに対してボンディングヘッドから熱と圧力を加えながら基板に接合する方式です。1枚ずつ加圧・加熱制御を行うため、狭ピッチのバンプでも位置ズレや接合不良を抑えながら接続できる点が特徴です。半導体の微細化が進む中で、従来のマスリフロー方式では対応が難しくなってきた高密度実装の受け皿として採用が広がっています。

TCBとマスリフロー方式の違いを比較

接合精度・微細ピッチ対応の違い

マスリフロー方式は炉内全体を一様に加熱するため、基板の反りやチップごとの位置ズレの影響を受けやすく、バンプピッチが狭くなるほど接合不良のリスクが高まります。一方TCBは、チップ単位でアライメントを取りながら加圧・加熱するため、数十μmオーダーの狭ピッチバンプでも高い接合精度を維持しやすい方式です。

タクトタイム・生産性の違い

マスリフロー方式は複数チップを一括処理できるため、単位時間あたりの処理数が多く、量産時のタクトタイムに優れています。TCBはチップ1個ずつの処理となるため、マスリフロー方式と比べて1枚あたりの処理時間は長くなる傾向があり、量産性よりも精度が優先される用途に向いています。

適用される製品・用途の違い

マスリフロー方式は、比較的バンプピッチが広く、コストや生産性が重視される民生機器向けの実装で多く採用されています。TCBは、狭ピッチ化が進むロジックICやメモリの積層実装、2.5D/3D実装など、高密度かつ高信頼性が求められる先端パッケージで採用が進んでいます。

TCBが選ばれる理由

狭ピッチ化・高密度実装への対応

半導体チップの電極ピッチは年々狭くなっており、従来のマスリフロー方式では接合の安定性を保つことが難しい領域に入ってきています。TCBはチップごとに精密な位置合わせと加圧制御を行えるため、狭ピッチ化が進む先端パッケージにおいても安定した接合品質を実現しやすい方式です。

反り・熱ストレスの抑制

マスリフロー方式は炉内全体を高温にさらすため、基板やチップの反りが生じやすく、接合後の応力が製品信頼性に影響することがあります。TCBは局所的な加熱・加圧で接合を完了できるため、基板全体への熱影響を抑えられ、反りや熱ストレスに起因する不良を低減しやすいというメリットがあります。

まとめ

マスリフロー方式とTCBは、どちらが優れているというものではなく、実装するチップの電極ピッチや求められる生産性、製品の信頼性要件によって適した方式が異なります。比較的広いピッチで量産性を重視するのであればマスリフロー方式、狭ピッチ化が進む先端パッケージや高密度実装が求められるのであればTCBが選択肢になります。

委託先を検討する際は、対応可能な接合方式や実績のあるバンプピッチを事前に確認しておくことで、求める実装品質に合った企業選定がしやすくなります。

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