フリップチップ実装のコスト

目次

フリップチップ実装は、小型化・高速化を実現できる一方で「ワイヤーボンディングよりコストが高い」と言われる技術です。ただし、何にいくらかかるのかを分解して把握すれば、抑えられる部分とそうでない部分がはっきり見えてきます。ここでは、フリップチップ実装のコスト構造と、内製・外注を判断するための考え方を紹介しています。

フリップチップ実装のコストが高くなる理由

フリップチップ実装の課題として真っ先に挙げられるのが、ワイヤーボンディングとダイボンディングを組み合わせた場合と比べて接続コストが高くなる点です。

理由は接続構造そのものの複雑さにあります。チップ側にはバンプだけでなく、その土台となるUBM(Under Bump Metal)層やはんだキャップ層を作り込む必要があります。さらにシリコンと樹脂基板では熱膨張係数に大きな差があるため、温度サイクルによって発生する応力からバンプと電極を守るアンダーフィル材の充填が事実上必須となります。

つまり「ワイヤーを引く代わりにバンプを付けるだけ」ではなく、ウェハ側の加工工程がまるごと1セット増えるというのがコスト差の正体です。

参照元:EE Times Japan(https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2402/13/news066_2.html

コストを構成する5つの要素

バンプ形成費

ウェハ上に突起電極を作る工程で、フリップチップ実装のコストの中でも大きな割合を占めます。工法によって単価も適性も変わります。

工法 特徴 向いているケース
めっきバンプ工法 電解めっきで微細なバンプを形成。高さ50μm以下の小型バンプに適する 高密度・微細ピッチの量産
ボール搭載工法 はんだボールを搭載。高さ100μm以上の大きめのバンプに適し、サイズが均一 電極が大きいIC
スクリーン印刷工法 仕様変更に柔軟に対応しやすい 仕様が固まりきっていない案件
スタッドバンプ(SBB) 金線を使い、ウェハ加工設備なしで形成できる 試作・小ロット

めっき工法はシード層のスパッタ、フォトレジスト塗布、露光・現像、電解めっき、レジスト剥離、シード層エッチング、リフローと多段の工程を踏むため、ロットが小さいほど1個あたりの単価が跳ね上がります。逆に、試作や小ロットではウェハプロセスを必要としないスタッドバンプが選ばれることが多く、材料単価の高い金を使ってもトータルでは安く収まるケースがあります。

参照元:京セラ(https://www.kyocera.co.jp/prdct/wafer-bumping/howto_wbp/bumping/)、三ツ矢(https://www.mitsuyanet.co.jp/glossary/page.php?id=2026-0028

実装(ボンディング)費

フリップチップボンダーでチップを高精度に搭載する工程の費用です。1チップあたりのタクトタイム、要求される実装精度、接合方式(はんだリフロー/熱圧着/超音波接合/ACF)によって変わります。多端子のチップでも端子が一括で接続されるため、端子数が増えるほどワイヤーボンディングに対して相対的に有利になります。

アンダーフィル・材料費

樹脂基板を使う場合はほぼ必須の工程で、材料費と充填・硬化の工数がかかります。あわせて、はんだ材、フラックス、ACF/NCFなどの接合材料費も積み上がります。

検査費

バンプ下やチップ下面の接合部は外から目視できないため、X線検査や超音波探傷といった非破壊検査が必要になります。要求品質が高い用途ほど全数検査に近づき、検査コストの比率が上がります。

初期費用(NRE)

治具・ツールの製作、めっき用マスクの作成、接合条件の作り込み(条件出し)にかかる費用です。量産単価には現れませんが、試作段階では総額の大半をここが占めることも珍しくありません。見積もりを比較するときは、量産単価だけでなく初期費用込みの総額で並べる必要があります。

単価を左右する主な条件

なお、バンプ加工や実装の受託単価は仕様依存が大きく、多くの受託企業がカタログ価格を公開せず「応相談」としています。相場感を掴むより、自社の仕様で複数社から相見積もりを取るほうが確実です。

参照元:イプロスものづくり(https://mono.ipros.com/product/detail/2000631955/

コストを抑える4つのアプローチ

接合方式を用途に合わせて見直す

高い信頼性が求められない用途で最先端の接合方式を選んでも、コストが増えるだけです。逆に、量産数が読める製品でスタッドバンプを使い続けると、めっき工法に切り替えたほうが安くなる分岐点を超えている場合があります。

歩留まりを改善する

ボイドや未接合といった実装不良は、そのまま材料費とチップ代の損失になります。特に高価なベアチップを扱う場合、単価を数%削るより不良率を1%下げるほうが効くケースが多くあります。

部品調達力のある企業に委託する

部品の仕入れネットワークを持つ企業に任せることで、調達段階でのコストダウンが期待できます。

工程をまとめて任せる

バンプ形成・実装・封止・検査を別々の会社に分けると、輸送費と管理工数、そして各社間での責任分界のコストが乗ります。一貫受託できる企業に集約したほうが総額では安くなることがあります。

内製と外注、どちらを選ぶべきか

内製に踏み切る場合に必要なもの

設備投資だけでなく、接合条件を安定させるまでの立ち上げ期間と人材確保が実質的なハードルになります。

外注が向いているケース

内製が向いているケース

多くの企業にとって現実的なのは、試作と初期量産を外注し、数量が読めた段階で内製化を検討するという進め方です。

見積もり依頼時に伝えたい情報

以下を揃えておくと、各社から精度の高い見積もりが返ってきます。

まとめ

フリップチップ実装のコストは「バンプ形成費+実装費+材料費+検査費+初期費用」で構成され、ロット数と要求ピッチによって大きく振れます。単価の安さだけで委託先を選ぶと、条件出しに時間がかかったり歩留まりが上がらなかったりして、結果的に総額が膨らむこともあります。

自社の数量と要求精度を整理したうえで、コスト・納期・技術力のどれを優先するかを決めて委託先を選ぶことが、結果的にもっとも確実なコストダウンにつながります。

フリップチップボンディング
特長別のおすすめ受託企業3選

フリップチップボンディングを含めた半導体製造後工程を委託することができる企業の中で、高度な技術による「小型化・高速化」、複数製造会社での分散対応による「短納期」、部品調達による「低コスト」と、それぞれの特長を持つおすすめの企業を紹介します。ぜひ委託先を選定する際の参考にしてください。

【小型化・高速化】
先端技術の開発・製造なら
マイクロモジュール
テクノロジー
マイクロモジュールテクノロジー公式HP
画像引用元:マイクロモジュールテクノロジー公式HP
(http://www.micro-module.co.jp/)
微細接合・高密度実装に対応

端子ピッチ30μmの実装や6Gなど次世代通信の200GHzクラスの実装が可能な技術力を持つ企業。他社では対応が難しい微細接合にも対応できます。

このような場合におすすめ

小型化・高速化に向けた高精度な実装が求められるイメージセンサのパッケージングやカメラモジュール、次世代通信などへの対応に適しています。

【短納期】
新製品の早期投入なら
グロース
グロース公式HP
画像引用元:グロース公式HP
(https://service.a-growth.com/)
分散製造により短納期を実現

高い技術を持つ製造会社を委託先に持つ、自社工場を持たないファブレス企業。1案件を複数の企業で分散対応できるため短納期が実現可能です。

このような場合におすすめ

スマートデバイスやPC関連機器、IoTデバイスなど製品のライフサイクルが短く、迅速な製品投入が必要な場合に適しています。

【低コスト化】
価格競争に勝ちたいなら
ピーダブルビー(PWB)
ピーダブルビー公式HP
画像引用元:ピーダブルビー公式HP
(https://pwb.co.jp/)
部品調達の低コスト化を実現

部品調達において国内外に50を超える多様なネットワークを構築(※)しており、低価格での仕入れが可能。低コストでの量産を実現できます。

このような場合におすすめ

家庭用電子製品やオーディオ機器製品など、売れ行きが予測できる製品のシェア拡大を狙った量産が求められる場合などに適しています。

※2024年10月確認時点:参照元:ピーダブルビー公式HP(https://pwb.co.jp/service/assembly/

フリップチップ
ボンディング

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