フリップチップ実装は接合部がチップの下に隠れるため、不良が起きても外から見えません。そして接合部は電気的な接続だけでなく、機械的な保持と放熱も担っているため、わずかな不良が製品寿命に直結します。ここでは、フリップチップ実装で起こりやすい不良の種類と原因、そして現実的な対策を紹介しています。
| 不良の種類 | 症状 | 主な発生工程 |
|---|---|---|
| ボイド(はんだ接合部) | 接合部の内部に気泡が残る | リフロー |
| ボイド(アンダーフィル) | 樹脂の未充填部分が残る | アンダーフィル充填 |
| 未接合(オープン) | バンプと電極が接続されない | 接合 |
| ブリッジ(ショート) | 隣接するバンプ同士がつながる | 接合 |
| 位置ずれ | バンプとパッドの位置が合わない | 位置合わせ・接合 |
| クラック | バンプやチップに割れが生じる | 接合後・使用環境下 |
ボイドは大きく2種類に分けて考える必要があります。ひとつはガスによる気泡、もうひとつはフラックス残渣によるものです。
フリップチップやBGA、CSPのようにチップの下にはんだが位置する形状では、上部ヒーターの熱が部品下まで届きにくく、はんだの熱対流も鈍くなるため、ガスや残渣が抜けきらずに残りやすくなります。近年のはんだ材は、溶融時にガスが出にくいよう耐熱性の高い高分子系の溶剤を多用しており、それが逆にチップ下へ残留して大きな異形ボイドの原因になることもあります。
対策の方向性は、フラックスを劣化させずにはんだを溶融させ、フラックスの効果が生きているうちにはんだの流動性を確保してガスを放出させることです。具体的には、リフロープロファイルの見直し(室温から融点までの時間を短くする、融点以上を保つ時間を調整する)や、はんだ材とフラックスの選定が中心になります。
参照元:MONOist(https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1305/08/news054.html)
チップと基板の隙間に樹脂を流し込む際、空気を巻き込んだり、隅まで樹脂が回りきらなかったりすることで未充填部分が生じます。バンプが微細化してチップ下の隙間が狭くなるほど、また樹脂の粘度が高いほど発生しやすくなります。
対策としては、以下のようなアプローチがあります。
加圧硬化を導入している現場では、塗布時の巻き込みボイドや基板由来のボイド、フラックス残渣起因のボイドまでまとめて処理できるため、前工程の管理負荷を下げられるという考え方もあります。ただし設備投資が必要になるため、量産数量との兼ね合いで判断する必要があります。
参照元:西華産業(https://www.seika.com/cms_source/data/product/voidless_pressur/index.php)
バンプが電極に届いていない、あるいは接触していても金属的に接合されていない状態です。原因は複合的で、次のような要因が絡みます。
特に反りは軽視できません。チップ、インターポーザ、パッケージ基板は熱膨張係数の異なる材料を積層するため、製造工程の熱履歴によって収縮差が生じ、接続不良と製品寿命の低下に直結します。対策には、材料の熱膨張率のマッチング、設計面での対応、そして反りを抑えながら接合できる方式の選択が含まれます。リフロー炉を使わずボンダー上で加熱・加圧する熱圧着ボンディング(TCB)が微細ピッチで採用されるのも、この反りへの対応が理由のひとつです。
参照元:レゾナック(https://www.resonac.com/jp/solution/column/007.html)
溶融したはんだが隣のパッドまで流れて隣接端子がつながる不良です。バンプ量の過多、パッド設計とソルダーレジスト開口のバランス、位置ずれとの複合、そして荷重のかけすぎによるバンプの過度な潰れが原因になります。
ファインピッチになるほどマージンが小さくなるため、バンプ高さと径のばらつき管理、荷重プロファイルの調整、基板側のパッド設計の見直しが対策の中心になります。
フリップチップ実装ではマイクロメートル単位の位置合わせが求められるため、装置の実装精度がそのまま歩留まりに影響します。アライメントマークの認識精度、ボンディングヘッドの平行度、加熱時の熱膨張によるずれなどが要因です。
はんだ接合には、溶融したはんだの表面張力によってチップ位置が自動的に補正されるセルフアライメント効果があるため、多少のずれは吸収されます。一方、Au-Au接合やACFのように溶融を伴わない方式ではこの効果が働かないため、搭載時の精度がそのまま結果になります。要求精度に見合った装置を持つ企業に委託することが、もっとも確実な対策です。
シリコンチップと樹脂基板では熱膨張係数に大きな差があり、使用環境の温度サイクルによって接合部に応力が繰り返しかかります。これがバンプや電極の損傷、樹脂の剥離につながります。
この応力を緩和するのがアンダーフィルの役割で、樹脂基板を使う場合には事実上必須の工程です。逆に、シリコンと熱膨張係数が近いセラミック基板を選べば、実装時の熱応力そのものを抑えられ信頼性の向上につながります。基板材料の選定は、後から効いてくる不良対策でもあります。
参照元:京セラ(https://www.kyocera.co.jp/prdct/semicon/search_problem/detail/da_methodoptions.html)
接合部が見えない以上、非破壊検査が前提になります。
量産段階での検査は不良の流出を防ぐものであり、不良そのものを減らすわけではありません。試作・条件出しの段階でどれだけ丁寧に断面観察と条件の作り込みを行うかが、量産歩留まりを決めます。
実装不良は、材料費とベアチップ代がそのまま損失になります。単価の安さだけで委託先を決めると、歩留まりが上がらず総額では高くつくこともあるため、技術力と評価体制をあわせて確認しておくことが重要です。
フリップチップ実装の不良は、ボイド・未接合・ブリッジ・位置ずれ・クラックに大別され、それぞれリフロープロファイル、反り、バンプ高さのばらつき、装置精度、材料の熱膨張差といった異なる要因から生じます。
共通しているのは、量産に入ってからでは対処が難しく、試作・条件出しの段階での作り込みが結果を左右するという点です。自社の仕様を理解したうえで条件出しに付き合ってくれる委託先を選ぶことが、もっとも効果的な不良対策になります。
フリップチップボンディングを含めた半導体製造後工程を委託することができる企業の中で、高度な技術による「小型化・高速化」、複数製造会社での分散対応による「短納期」、部品調達による「低コスト」と、それぞれの特長を持つおすすめの企業を紹介します。ぜひ委託先を選定する際の参考にしてください。

端子ピッチ30μmの実装や6Gなど次世代通信の200GHzクラスの実装が可能な技術力を持つ企業。他社では対応が難しい微細接合にも対応できます。
小型化・高速化に向けた高精度な実装が求められるイメージセンサのパッケージングやカメラモジュール、次世代通信などへの対応に適しています。

高い技術を持つ製造会社を委託先に持つ、自社工場を持たないファブレス企業。1案件を複数の企業で分散対応できるため短納期が実現可能です。
スマートデバイスやPC関連機器、IoTデバイスなど製品のライフサイクルが短く、迅速な製品投入が必要な場合に適しています。

部品調達において国内外に50を超える多様なネットワークを構築(※)しており、低価格での仕入れが可能。低コストでの量産を実現できます。
家庭用電子製品やオーディオ機器製品など、売れ行きが予測できる製品のシェア拡大を狙った量産が求められる場合などに適しています。
※2024年10月確認時点:参照元:ピーダブルビー公式HP(https://pwb.co.jp/service/assembly/)