レーザーアシストボンディング(LAB)とは

レーザーアシストボンディング(LAB:Laser Assisted Bonding)は、レーザーでチップを局所的に加熱し、はんだバンプを溶かして基板と接合するフリップチップ実装の方式です。基板全体を炉で温めるマスリフローと違い、チップ側だけを数秒以内で加熱するため、反りや熱ストレスを大きく抑えられます。

薄いチップや狭ピッチの銅ピラーバンプが増えるなかで、マスリフローと熱圧着ボンディング(TCB)に続く「第3の接合方式」として注目されています。ここでは、LABの仕組み、マスリフロー・TCBとの違い、工程、メリットと課題、主な用途、委託先に確認したいポイントを紹介しています。

レーザーアシストボンディングの仕組み

LAB装置は、波長980nmの赤外線レーザーと、ビームを均一な面状に整える光学系(ホモジナイザー)を備えています。一点を狙うレーザーはんだ付けとは異なり、チップ全体を覆う四角いビームを照射するのが特徴です。

照射されたレーザーはチップに吸収されて熱に変わり、その熱がチップの内部を伝わって裏側のはんだバンプを溶かします。ある研究の解析では、シリコンチップの温度は面内で均一に、数秒で約280℃まで上昇し、はんだを溶かすのに十分な温度に達しました。

一方で、基板の温度は装置のステージ温度に近いまま、ほとんど上がりません。チップは熱く基板は冷たいという「上下方向の温度差」ができることが、LABの最大のポイントです。チップと基板の熱膨張の差によって起こる反りを、この温度差が抑えてくれます。

参照元:Semiconductor Engineering(https://semiengineering.com/paving-the-way-to-chiplets/)、Journal of Welding and Joining(https://e-jwj.org/journal/view.php?number=2032081&viewtype=pubreader)、Seoul National University of Science & Technology(https://pure.seoultech.ac.kr/en/publications/development-and-optimization-of-the-laser-assisted-bonding-proces/)

マスリフロー・TCBとの違い

はんだバンプを溶かして接合する方式には、マスリフロー(MR)、熱圧着ボンディング(TCB)、LABの3つがあります。違いは「どこを、どれくらいの時間で加熱するか」です。

比較項目 マスリフロー(MR) 熱圧着ボンディング(TCB) レーザーアシストボンディング(LAB)
加熱する範囲 基板ごと全体を炉で加熱 ヒーター付きヘッドでチップを加熱 レーザーでチップを局所加熱
加熱時間 3分以上 1チップずつ加熱・冷却 1秒未満〜10秒程度
反り 大きくなりやすい 抑えやすいが残る 上下の温度差で抑えやすい
狭ピッチへの対応 不得意 得意 得意
設備 汎用のリフロー炉 チップサイズに合わせたヘッドが必要 限られたメーカーの専用装置

LABは、マスリフローの工程の中でリフロー炉の部分をレーザー照射に置き換えたものと考えるとわかりやすいでしょう。フラックスやアンダーフィルといった材料の使い方は、基本的にマスリフローと共通です。マスリフローとTCBの違いはTCBとマスリフローの比較で紹介しています。

参照元:Journal of Welding and Joining(https://e-jwj.org/journal/view.php?number=2032081&viewtype=pubreader)、Semiconductor Engineering(https://semiengineering.com/paving-the-way-to-chiplets/)、Coherent(https://www.coherent.com/news/blog/microled)

レーザーアシストボンディングの工程

  1. バンプ形成:ウェハ上に、銅ピラーにはんだキャップを載せたバンプなどを通常の工程で形成し、ダイシングでチップに個片化します。
  2. フラックス・接合材料の供給:フラックスや、LAB向けに開発されたアンダーフィル材料を供給します。
  3. チップの搭載:チップを反転させて基板と位置合わせし、載せます。
  4. レーザー照射:チップの裏面からレーザーを照射し、はんだを溶かして接合します。照射時間は用途によって1秒未満から10秒程度です。
  5. 後工程:使った材料に応じて、洗浄、アンダーフィル充填、追加硬化、モールドなどを行います。

LAB向けの接合材料

LABは接合部の温度が急激に上がるため、マスリフロー用のフラックスがそのまま合うとは限りません。そこで、LABに合わせた材料の開発も進んでいます。

韓国の研究機関ETRIは、ポリマーだけで構成した「フラクシングアンダーフィル」を開発しました。これはNCP(非導電性ペースト)の一種で、接合中にガスが出ず、接合後の洗浄も不要です。この材料とLABを組み合わせ、最小ピッチ30μmのテストチップを2秒の照射で接合したと報告しています。NCPについてはNCF・NCPとはで詳しく解説しています。

参照元:Journal of Welding and Joining(https://e-jwj.org/journal/view.php?number=2032081&viewtype=pubreader)、ETRI(https://ksp.etri.re.kr/ksp/article/read?id=69279)

レーザーアシストボンディングのメリットと課題

メリット

課題

反りの原因と対策は反り(ウェハー・基板の反り)とその対策、接合不良についてはフリップチップ実装不良もあわせてご覧ください。

参照元:Seoul National University of Science & Technology(https://pure.seoultech.ac.kr/en/publications/development-and-optimization-of-the-laser-assisted-bonding-proces/)、Journal of Welding and Joining(https://e-jwj.org/journal/view.php?number=2032081&viewtype=pubreader)、Laserline(https://www.laserline.com/ja-int/laser-assisted-bonding/)、Semiconductor Engineering(https://semiengineering.com/paving-the-way-to-chiplets/)

レーザーアシストボンディングの主な用途

高性能コンピューティング(HPC)向けパッケージ

LABは2019年ごろから量産に使われており、反りや残留応力によるはんだの濡れ不良やクラックが致命的になるHPC向けの製品で採用されています。後工程受託大手のAmkorやJCETがLABの開発を進めており、Amkorは10μmピッチまでの接合を実証し、20μmピッチの製品で認定を進めていると述べています。チップレットとの関係はチップレットとはで紹介しています。

大型から小型まで幅広いチップの直接実装

レーザー装置メーカーのLaserlineによると、量産の現場では3×3mmから100×100mmのチップ、厚さ50〜780μmの直接実装にLABが使われています。

マイクロLED・センサー

マイクロLEDディスプレイの製造では、小さなLEDを高い位置精度で狭い間隔に並べる必要があります。マスリフローでは数分かかる加熱が反りや位置ずれの原因になるため、1秒未満で加熱を終えられるLABが有力な選択肢とされています。マイクロLEDの実装はマイクロLED・光学部品におけるフリップチップボンディングをご覧ください。

参照元:Semiconductor Engineering(https://semiengineering.com/paving-the-way-to-chiplets/)、Laserline(https://www.laserline.com/ja-int/laser-assisted-bonding/)、Coherent(https://www.coherent.com/news/blog/microled)

レーザーアシストボンディングを委託するときに確認したいこと

LABは装置を持つ企業がまだ限られるため、まずはLABに対応できるかどうかから確認する必要があります。そのうえで、次の点を確認しておくと安心です。

見積もりを依頼する際は、チップサイズと厚さ、バンプの種類・ピッチ・数、基板の種類と厚さ、許容できる反り量、試作数量と想定量産数を伝えると、話がスムーズに進みます。

まとめ

レーザーアシストボンディング(LAB)は、レーザーでチップだけを数秒以内に加熱し、はんだを溶かして接合する方式です。チップと基板の上下に温度差をつけることで反りを抑え、マスリフローより速く、薄いチップや狭ピッチの接合にも対応できます。

すでにHPC向けパッケージやセンサー、マイクロLEDなどで活用が広がっていますが、対応できる装置と企業はまだ限られています。LABを検討する際は、装置の有無と実績を確認したうえで、マスリフローやTCBも含めて最適な方式を提案できる受託企業を選ぶことが近道です。

フリップチップボンディング
特長別のおすすめ受託企業3選

フリップチップボンディングを含めた半導体製造後工程を委託することができる企業の中で、高度な技術による「小型化・高速化」、複数製造会社での分散対応による「短納期」、部品調達による「低コスト」と、それぞれの特長を持つおすすめの企業を紹介します。ぜひ委託先を選定する際の参考にしてください。

【小型化・高速化】
先端技術の開発・製造なら
マイクロモジュール
テクノロジー
マイクロモジュールテクノロジー公式HP
画像引用元:マイクロモジュールテクノロジー公式HP
(http://www.micro-module.co.jp/)
微細接合・高密度実装に対応

端子ピッチ30μmの実装や6Gなど次世代通信の200GHzクラスの実装が可能な技術力を持つ企業。他社では対応が難しい微細接合にも対応できます。

このような場合におすすめ

小型化・高速化に向けた高精度な実装が求められるイメージセンサのパッケージングやカメラモジュール、次世代通信などへの対応に適しています。

【短納期】
新製品の早期投入なら
グロース
グロース公式HP
画像引用元:グロース公式HP
(https://service.a-growth.com/)
分散製造により短納期を実現

高い技術を持つ製造会社を委託先に持つ、自社工場を持たないファブレス企業。1案件を複数の企業で分散対応できるため短納期が実現可能です。

このような場合におすすめ

スマートデバイスやPC関連機器、IoTデバイスなど製品のライフサイクルが短く、迅速な製品投入が必要な場合に適しています。

【低コスト化】
価格競争に勝ちたいなら
ピーダブルビー(PWB)
ピーダブルビー公式HP
画像引用元:ピーダブルビー公式HP
(https://pwb.co.jp/)
部品調達の低コスト化を実現

部品調達において国内外に50を超える多様なネットワークを構築(※)しており、低価格での仕入れが可能。低コストでの量産を実現できます。

このような場合におすすめ

家庭用電子製品やオーディオ機器製品など、売れ行きが予測できる製品のシェア拡大を狙った量産が求められる場合などに適しています。

※2024年10月確認時点:参照元:ピーダブルビー公式HP(https://pwb.co.jp/service/assembly/)

フリップチップ
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