NCF・NCPは、フリップチップ接合の「前」に基板やウェハへ供給しておく、先塗布型のアンダーフィル材料です。接合後に樹脂を流し込む従来のアンダーフィルと違い、熱圧着の1工程でバンプの接続と封止を同時に済ませられます。
バンプピッチが100μmを下回る微細接合や、HBMのような薄いチップの多段積層が広がるにつれて、NCF・NCPの重要性は増しています。ここでは、NCFとNCPの違い、熱圧着ボンディング(TCB)と組み合わせた接合プロセス、向いている用途、委託先に確認したいポイントを紹介しています。
NCFは「Non-Conductive Film(非導電性フィルム)」、NCPは「Non-Conductive Paste(非導電性ペースト)」の略です。どちらもエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が主成分で、導電粒子を含みません。
電気的な接続を担うのは、チップ側のバンプ(はんだバンプや銅ピラー)と基板側の電極です。熱と圧力でバンプと電極を直接接触・接合させ、NCF・NCPはその周りを埋めて硬化し、接合部を固定・保護します。つまり、広い意味ではアンダーフィル材料の一種です。
名前が似ているACF(異方性導電フィルム)は、樹脂中に導電粒子を分散させ、その粒子を介して電極同士をつなぐ材料です。NCFとACFは「接続を何が担うか」が根本的に違うため、混同しないよう注意が必要です。ACF接合の工程はフリップチップ実装工程で紹介しています。
参照元:樹脂プラスチック材料環境協会(https://www.jushiplastic.com/non-conductive-film-ncf/)
一般的なアンダーフィルは「後入れ」です。チップを接合したあと、チップの端から液状樹脂を流し込み、毛細管現象で隙間に浸透させてから硬化させます(キャピラリーフロー型)。詳しくはアンダーフィルとはで解説しています。
NCF・NCPは「先入れ」です。接合の前に樹脂を配置しておき、熱圧着の熱で樹脂を軟化・流動させながらバンプをつなぎ、そのまま硬化させます。
| 比較項目 | キャピラリーフロー型(後入れ) | NCF・NCP(先入れ) |
|---|---|---|
| 樹脂を供給するタイミング | 接合後 | 接合前 |
| 隙間を埋める仕組み | 毛細管現象 | 熱圧着時の樹脂流動 |
| 接合と封止 | 別工程 | 1工程で同時に行う |
| 組み合わせる接合方式 | 主にマスリフロー(C4) | 主に熱圧着ボンディング(TCB) |
| チップ周囲に必要なスペース | 樹脂の塗布領域とフィレットが必要 | 小さく抑えやすい |
先入れ方式が求められるようになった背景には、接合部の微細化があります。バンプのピッチやチップと基板の隙間が狭くなると、毛細管現象で樹脂を流し込むのに時間がかかり、充填しきれずにボイド(空隙)が残りやすくなります。この課題を避けるため、樹脂を先に置いてからTCBで硬化させる先塗布方式が採用されるようになりました。
参照元:米国特許 US11485848(https://image-ppubs.uspto.gov/dirsearch-public/print/downloadPdf/11485848)、Henkel(https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/Whitepaper_Formulating_NCP_and_NCF_for_Optimal_Results_final)
NCFとNCPの最大の違いは材料の形と供給方法です。NCFはフィルムをウェハや基板に貼り付け、NCPはペーストをディスペンサで基板に塗布します。この違いが、得意なチップの厚さや工程の組み方に表れます。
| 比較項目 | NCF(フィルム) | NCP(ペースト) |
|---|---|---|
| 材料の形 | 半硬化状態のフィルム | 液状・ペースト状 |
| 供給方法 | バンプ付きウェハに真空ラミネートしてからダイシング(基板側に貼る方式もある) | 基板の実装位置にディスペンス |
| 樹脂量の管理 | フィルムの厚さで決まるため均一にしやすい | 吐出量や塗布パターンで調整する |
| 向いているチップ厚(Henkelの目安) | 50μm未満 | 60μm超 |
| 得意な構造 | 3D積層(HBMなど)、2.5D | 2.5D、銅ピラーバンプ |
| 主な管理ポイント | ラミネート時の気泡、ダイシング性、保管温度 | 塗布パターンと量のばらつき、はみ出し、ボイド |
Henkelのホワイトペーパーでは、厚さ100μm未満の薄いチップや、HBMのようにチップを縦に積み重ねる設計では、ウェハ段階で貼れるNCFが好まれるとしています。一方のNCPは、チップごとに必要な場所へ必要な量を塗れるため、品種ごとに条件を変えやすい材料です。
参照元:Henkel(https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/Whitepaper_Formulating_NCP_and_NCF_for_Optimal_Results_final)、樹脂プラスチック材料環境協会(https://www.jushiplastic.com/non-conductive-film-ncf/)
NCF・NCPは、主に熱圧着ボンディング(TCB)と組み合わせて使います。フリップチップボンダー上でチップを1つずつ加熱・加圧し、バンプの接合と樹脂の硬化を一度に進める方式です。TCBそのものの特徴はTCBとマスリフローの比較で紹介しています。
フィルム越しにアライメントマークを認識する必要があるため、NCFには透明性も求められます。
NCPでは塗布パターンが仕上がりを左右します。Henkelの検証では、塗布量の不足やパターンの偏りがボイドの原因になり、星形に点を加えたパターンなどで良好な結果が得られたと報告されています。
TCBで最も起こりやすい不具合は、ボイドとはんだ接合不良です。樹脂がバンプと電極の間に残れば未接合になり、樹脂が流れきらなければボイドが残ります。NCFの検証では、昇温を速くするとはんだは濡れやすくなる一方、ゆっくり昇温したほうが樹脂がよく流れてボイドが減るという結果でした。荷重・接触温度・昇温速度のバランスを、製品ごとに詰める必要があります。
TCBとNCFの組み合わせには、加熱ムラや高い荷重、薄いチップの反りといった課題もあります。そこで、レーザーでチップを局所的に加熱するレーザーアシストボンディング(LAB)と、LAB向けに設計したNCPを組み合わせる研究も進んでいます。
参照元:Henkel(https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/Whitepaper_Formulating_NCP_and_NCF_for_Optimal_Results_final)、ETRI(https://ksp.etri.re.kr/ksp/article/read?id=69279)
NCF・NCPで起こりやすいボイドや未接合の詳しい原因と対策は、フリップチップ実装不良もあわせてご覧ください。
参照元:Henkel(https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/Whitepaper_Formulating_NCP_and_NCF_for_Optimal_Results_final)、樹脂プラスチック材料環境協会(https://www.jushiplastic.com/non-conductive-film-ncf/)
NCFの代表的な用途が、AI半導体に搭載されるHBMです。薄いDRAMチップを、接続しながら何段も積み重ねる工程でNCFが使われています。積層するほど接着層の厚さの誤差が積み上がるため、NCFにはサブミクロン単位の厚み精度が求められます。
レゾナックは2024年3月、HBM向けNCFの生産能力を従来の3.5〜5倍に拡大すると発表しました(放熱シートと合わせて約150億円の投資)。需要の伸びを示す動きといえます。3D積層の全体像は半導体の3D(3次元)実装で紹介しています。
インターポーザ上にロジックやメモリーを並べる2.5D実装では、銅ピラーバンプによる狭ピッチ接合が増えています。Henkelの資料でも、NCPは2.5Dと銅ピラーの設計に適した材料として整理されています。バンプの種類はC4バンプ/マイクロバンプの違いをご覧ください。
樹脂の塗布領域を小さく抑えられるため、限られた面積に複数のチップや部品を詰め込むSiPやマルチチップモジュールにも向いています。
参照元:レゾナック(https://www.resonac.com/jp/news/2024/03/29/3000.html)、Henkel(https://dm.henkel-dam.com/is/content/henkel/Whitepaper_Formulating_NCP_and_NCF_for_Optimal_Results_final)
NCF・NCPは材料単体の性能だけでは仕上がりが決まらず、装置と条件出しのノウハウに大きく左右されます。委託先を選ぶ際は、次の点を確認しておくと安心です。
見積もりを依頼する際は、チップサイズと厚さ、バンプの種類・ピッチ・高さ、基板の種類、希望する材料(NCF・NCP・未定)、試作数量と想定量産数を伝えると、話がスムーズに進みます。
NCF・NCPは、接合前に樹脂を配置し、熱圧着ボンディングでバンプの接合と封止を同時に行う先塗布型のアンダーフィル材料です。フィルム状のNCFはウェハ段階で貼れるため薄いチップの積層に強く、ペースト状のNCPは必要な場所に必要な量を塗れる柔軟さが強みです。
微細ピッチ化やHBMをはじめとする3D積層の拡大で活躍の場は広がっていますが、樹脂の流れと硬化のタイミングを合わせる条件出しは簡単ではありません。NCF・NCPを使った実装を検討する際は、TCBの設備と実績を持ち、材料選定から検査まで相談できる受託企業を選ぶことが成功の近道です。
フリップチップボンディングを含めた半導体製造後工程を委託することができる企業の中で、高度な技術による「小型化・高速化」、複数製造会社での分散対応による「短納期」、部品調達による「低コスト」と、それぞれの特長を持つおすすめの企業を紹介します。ぜひ委託先を選定する際の参考にしてください。

端子ピッチ30μmの実装や6Gなど次世代通信の200GHzクラスの実装が可能な技術力を持つ企業。他社では対応が難しい微細接合にも対応できます。
小型化・高速化に向けた高精度な実装が求められるイメージセンサのパッケージングやカメラモジュール、次世代通信などへの対応に適しています。

高い技術を持つ製造会社を委託先に持つ、自社工場を持たないファブレス企業。1案件を複数の企業で分散対応できるため短納期が実現可能です。
スマートデバイスやPC関連機器、IoTデバイスなど製品のライフサイクルが短く、迅速な製品投入が必要な場合に適しています。

部品調達において国内外に50を超える多様なネットワークを構築(※)しており、低価格での仕入れが可能。低コストでの量産を実現できます。
家庭用電子製品やオーディオ機器製品など、売れ行きが予測できる製品のシェア拡大を狙った量産が求められる場合などに適しています。
※2024年10月確認時点:参照元:ピーダブルビー公式HP(https://pwb.co.jp/service/assembly/)